きぐるみの夏 資料室

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■ ストーリー

演劇の夢を捨てきれないまま、気づけばアラフォー。着ぐるみのアルバイトで食いつなぐ坂本誠一は、うだつの上がらない毎日を送っていた。

そんなある日、バイト先の倉庫で見慣れない着ぐるみを見つけ、好奇心で袖を通してしまう。脱げなくなった着ぐるみ。鏡に映ったのは、見知らぬ女の子の姿だった――。

「私、いつの間にか、あなたの中に……?」

それは、かつてこの着ぐるみを専任で着ていた少女・あかりのもの。彼女は炎天下、脱げないまま命を落としていた――そして今も、自分が死んだことに気づいていない。

坂本の意識を残したまま、あかりの人格が前面に出て動き出す体。戸惑いながらも過ごすうち、坂本はやがて、自分とあかりの間に、ずっと昔の小さな接点があったことを思い出していく。

しかし、坂本を待っていたのは、この不思議な現象だけではなかった。あかりの生前を知る元同僚・高橋の思わぬ告白、テーマパークのメインキャラという大役への抜擢、そして、二人が背負うことになる「もう一度、両親に会いたい」という、あかりの切実な願い――。

ふたりぶんの人生を、ひとつの体で。

不器用な男と、声を届けられなかった少女の、夏の物語。ここに開幕。

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■ 登場人物

<主人公>

坂本誠一(さかもとせいいち)
年齢 :39歳(まもなく40)
職業 :着ぐるみ派遣会社に登録するフリーター
性格 :目立ちたがりで空回りしがち。卑屈さと見栄が同居する
その他:演劇の夢を諦めきれず上京したが芽が出ず。ある日、謎の着ぐるみを着て脱げなくなり、女性の姿に変身する体質になる。

佐々木あかり(ささきあかり)
年齢 :死亡時23歳
職業 :故人。生前は着ぐるみ派遣スタッフ
性格 :内気で人見知り。だが着ぐるみを着ている間だけは大胆になれる
その他:坂本が変身する着ぐるみの前任者。脱げないまま熱中症で亡くなり、今も自分の死を自覚していない。コスモスの花と肉まんが好き。

<坂本の周囲>

谷(たに)
年齢 :40代半ば
職業 :派遣会社の正社員(営業担当)
性格 :押しが強く、根拠のない明るさが持ち味
その他:坂本を女性キャラの代役に最初に抜擢した張本人。勤続15年のベテラン。

木村(きむら)
年齢 :還暦近い
職業 :坂本の元劇団「ヴェルデ」のベテラン制作スタッフ
性格 :おねえ言葉混じりの柔らかい物腰
その他:坂本が若手だった頃から気にかけてくれている恩人。

高橋(たかはし)
年齢 :30代前半
職業 :派遣スタッフ
性格 :面倒見が良い
その他:あかりの生前の数少ない先輩。あかりが亡くなった現場に居合わせ、ずっと自責の念を抱えている。

鈴木(すずき)
年齢 :20代前半
職業 :派遣会社の新人スタッフ
性格 :線が細く、自信が持てないタイプ
その他:坂本と同じく女性キャラを任されることが多く、坂本に所作の指導を仰ぐ。

田所(たどころ)
年齢 :大学生くらい
職業 :坂本のアパートの隣人
性格 :詳細不明(夜型生活)
その他:夜遅くまで賑やかにしていたが、坂本(あかり姿)とばったり顔を合わせて以来、気を遣ってか静かになった。

<あかりの家族>

あかりの両親
年齢 :不明(高齢)
職業 :地方在住
その他:娘の死を受け止めきれずにいたが、坂本の訪問と、あかり本人からの言葉を受けて、少しずつ前を向けるようになる。母はコスモスの花を育て始める。